09年に公開されたVFXの凝った映画の一部を制作費順に並べてみた。

 日本またはアメリカで09年に公開されたVFXの凝った映画の一部を制作費順に並べてみた。制作費じゃなくて製作費かもしれません。全部で24作品。

制作費2.37億ドル

アバター / ジェームズ・キャメロン

 「同じ基本エンジンがこのシーンにも使われている。基本となる気体の動きは、液体の動きに似ている。この媒体は比較的圧縮されにくい。そのため、媒体が運動するとき、体積が劇的に変わることはない。片側を押すと、反対側にあるものが押し出される」(Knoll氏)
 つまり、ILMは過去の映画で流体の映像作成用に開発したグラフィックスエンジンを利用して、同じ基礎技術を「アバター」の爆発シーンに応用することができた。流体と大きな炎の間には明らかにいくつかの大きな相違点があるが(最も顕著なこととして、燃料が燃えるに従って炎は拡大し、その後、燃料がなくなると炎は収縮する)、それらを表現する手法は似ているので、技術を「アバター」のニーズに合わせることができた。


制作費 2億ドル

2012 / ローランド・エメリッヒ

(破壊のシーン)
 今回の破壊シーンの演出では、割れた物体の断面が象徴的に描き出されるシーンが多かった。したがって、その断面に対するテクスチャリングは重要視された。しかし、この断面はアーティストの手作業によってではなく、ボリューメトリックなシミュレーションによって自動生成される。
 この自動計算にのっとってテクスチャを自動生成するというアルゴリズムを考え出すことも容易ではない。それゆえに、今回はボリュームを構成している各ボクセルの内部を、ちょうど煙や塵が満たしているように、細かなテクスチャの集合で満たすという方法がとられた。


ハリー・ポッターと謎のプリンス / デヴィッド・イェーツ

今年の「ハリー・ポッター」では、80人のアーティストが、MayaとInfernoを組み合わせて使用し、165のショットを制作しました。ILMによる映画の制作作業は、ひとつのショットの中で数千人のアニメーションキャラクターがうごめく群衆の複製シーン、火や水のフォトリアリスティックな流体シミュレーションなど多岐に渡っています。


ターミネーター4 / マックG

 Snow氏は「われわれには、何年もかけて開発した非常によくできた流体シミュレーションツールがある。だが、溶けた金属が骨組みだけのロボットの中から流れ出るようにし、しかも本物らしく見せるには、(今までよりも)ずっと高いコンピュータ能力を必要とした。結局、ほんの数ショットに使われただけだったことを考えれば、驚くほど大変だった」と語った。同氏は、今映画を見るとこっけいだと語った。なぜなら、数秒で終わってしまうものをつくるのに、何日もかけて、100基以上の高性能プロセッサを投入したからだ。


トランスフォーマー: リベンジ / マイケル・ベイ

Q:ロボットの演出の難しさについて教えてください。
前作をやったことでロボットのVFXについてはかなり学んだよ。今回の方が人間の役者とロボットの交流が増えたし、ショット自体も長くなっている。テクノロジーはよくなったけど、アニメートしてロボットを動かすことに変わりはない。ぼくはアニメーターたちと一日一時間は話をして、すべての動きをチェックするんだ。「手が動き過ぎた」とか、「ここの動きが多過ぎる、もっとここの部分にフォーカスして欲しい」と伝えながら微調整をしていくんだ。あらゆることを詰め込み過ぎると、すべてがギャグになってしまうからね。人間の役者を演出するのとまったく同じなんだけど、人間の役者ならその場で直ぐにやれることが、アニメーションでは目の動きとか一つ一つを作っていかないといけない。とにかく時間がかかるんだ。


制作費 1.6億ドル

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 / デヴィッド・フィンチャー

「この映像はCGだと思いますか、それとも特殊メイクだと思いますか」
実は80歳から60歳までのベンジャミンの映像は、身体部分を年代に合わせたボディアクターが演じ、頭部のみCGで制作されている。つまり、映像には生身のブラット・ピットが一切写っていないということだ。また同作品には映画界初となるCG映像を織り交ぜたシーンもあるという。


制作費 1.5億ドル

スター・トレック / J・J・エイブラムス

 Guyett氏の説明によると、ILMのコンピュータを使うことで同氏のチームなどは、映画での核爆発のようなものをシミュレーションでき、費用も手が出せないほど高いものではないという。同氏は、つい4〜5年前にはそんなことは不可能だったと述べる。例として「メン・イン・ブラック」を挙げ、同映画での衝突シーンの制作は、高価な模型を壊さなければならなかったため、非常に費用がかかったと語る。それに加えて、撮影のチャンスはたった1回しかなかった。しかし当時は、その物理現象を正しく再現する技術がまだなかったため、CGではうまくいかなかっただろうと同氏は言う。


天使と悪魔 / ロン・ハワード

■流体シミュレーションで爆発を表現
 『天使と悪魔』の最大の山場であり、またVFXの見せ場ともいえるのが、クライマックスに登場する爆発だ。ダブルネガティブ社にとって、この最後のシーンの爆発をどう視覚化するかが大きなテーマだった。今回の爆発は、過去の数々の映画に登場したものとはまったく別物だ。スケールがとてつもなく大きく、人間の力を超越したものを感じさせる表現になっている。
 監督やアートディレクターから参考用に送られてきた映像や画像の素材は、原子爆弾や星雲の爆発など、CGで表現するには困難なものばかりだったそうだ。数多くの爆発の表現をこなしてきたダブルネガティブ社のスタッフにとっても大きなチャレンジだったようだ。
 最終的に、この爆発の表現には流体シミュレーションを用いている。流体シミュレーションによる爆発は、これまでの映画のVFXの中でも例がない。


ナイト ミュージアム2 / ショーン・レヴィ

ダイオウイカのアニメーション制作では、周りの環境やキャラクターと干渉する部分の表現についても重視した。環境との干渉の筆頭に挙げられるのが、触手と地面との干渉だ。触手が地面の近くにある時には、地面に吸い付こうとし、触手がある程度地面から離れると、触手を放り出すように地面から遠ざける。この表現のために、触手の表面と地面との間にいくつかのバネを張り、バネが一定値以上伸びたらそのバネを断ち切ってしまうというアイデアが用いられた。


ウルヴァリン: X-MEN ZERO / ギャヴィン・フッド

 ローガンとビクター兄弟の演技こそスタジオ撮影されたものの、その他ほとんどの要素はCGで作成されている。一見、実写の合成かと思われる環境に関しても、空・大地・海岸・森林といった要素が、かなり細かく造り込まれている。背景の兵隊なども、Massiveによる群れのシミュレーションで作成された。


制作費 1.3億ドル

ウォッチメン / ザック・スナイダー

『300<スリーハンドレッド>』で驚異の映像を作り上げ、世界中で大ヒットを記録した注目クリエイター、ザック・スナイダーがついに待望の映画化に踏み切った。20数年のときを経てついに傑作『ウォッチメン』が映像化されることとなった。ザック・スナイダー独特のスローモーション効果やCG合成による映像を駆使し、『ウォンテッド』、『ジャンパー』に続くスタイリッシュな音楽と映像で、観るものを驚愕のビジュアル・ワールドへと誘う。2009年最もクールな映像が全編にわたって炸裂する。


制作費 1億ドル

マーシャル博士の恐竜ランド / ブラッド・シルバーリング』

70年代にアメリカで放映されていたテレビシリーズ「Land of The Lost」が最新SFXにより、現代に甦った。出演は「俺たち〜」シリーズで知られるウィル・フェレルアメリカではベン・スティラーアダム・サンドラーと並ぶ人気コメディアンだが、日本ではその「暑苦しい顔」が災いして(?)知名度はいまひとつ。彼の芸風は、行動は下品だが、やることは子どもじみていているという役柄が得意。さて本作はというと、『ナイト・ミュージアム』のように、ファミリー層を狙ったため下品ネタは縮小。個人芸をなるべく封じ、SFチックなCGで見せようとするので、笑いの過激さは控えめ。「俺たち」シリーズとはまたちがった一面が見られる。


かいじゅうたちのいるところ / スパイク・ジョーンズ

撮影は2006年にオーストラリアで行われた。怪獣たちは最新技術によるCGではなく怪獣映画などで使われた昔ながらのアナログ手法であるスーツアクターによる着ぐるみを用いて表現し、編集作業で着ぐるみの顔にCGで豊かな表情をつけた。


制作費 9000万ドル

Alvin and the Chipmunks: The Squeakquel / Ross Bagdasarian,Jr.、Janice Karman』


制作費 8250万ドル

G-Force / Hoyt Yeatman』

モルモットのスパイたちが世界を守るために奮闘するウォルト・ディズニー(Walt Disney)のコメディー映画『G-Force』が、前週末の北米映画興行収入ランキングで、『ハリー・ポッターと謎のプリンスHarry Potter and the Half-Blood Prince)』を破り1位を獲得した。


制作費 7200万ドル

ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー / ギレルモ・デル・トロ

 VFXの見せ場の1つでもあるのが、トゥース・フェアリー(歯の妖精)という小さなクリーチャーの群れがメイン・キャラクターをはじめとする人間達に襲い掛かるシーン。群れの動きは、ダブルネガティブ社のインハウスの群れのシステムを用いて作成されている。この群れのシステムはパーティクルベースのシステムで、外力・障害物、衝突判定、目的地など基準として群れの動きをベクトル場として算出し、群れの個体をパーティクルと考えてこのベクトル場に沿って動かす。


制作費 5300万ドル

ザ・スピリット / フランク・ミラー

Amazon.com : Entertainment : 『ザ・スピリット』 CG合成の裏側



制作費 5000万ドル

ニュームーン/トワイライト・サーガ / クリス・ワイツ

バンパイア、エドワードとは敵対関係にあたる狼一族の少年にふんするテイラー・ロートナー、さらにはダコタ・ファニングも共演。切ない恋の行方と、バンパイアと新たな種族との闘いに注目だ。


制作費 4500万ドル

Dr.パルナサスの鏡 / テリー・ギリアム

ブラザーズ・グリム』などの鬼才、テリー・ギリアム監督による幻想的なファンタジー。悪魔との契約で不死身を望んだ男を取り巻く人々の皮肉な運命を豪華キャストで描く。謎めいた青年役に、これが遺作となった『ダークナイト』のヒース・レジャー。彼の急逝により危機に陥った本作を救ったのは、ジョニー・デップコリン・ファレルジュード・ロウという名優たち。撮影途中の役を彼ら3人が演じ分けた、奇想天外な物語に息をのむ。


制作費 3000万ドル

第9地区 / ニール・ブロムカンプ』

1982年、南アフリカの上空に巨大な宇宙船が突如飛来し、騒然とする人類。政府の決断で宇宙船の中に突入すると、そこには病気に冒された無数のエイリアンたちがいた。移民エイリアンたちは政府が用意したDistrict 9(以下D9)という居住区に隔離され、そこで生活を始める。28年後、D9は荒廃したスラムと化し、民間の軍事請負企業MNUは、180万のエイリアンたちをDistrict 10なる新たな移民収容キャンプに移す作戦にでる。
MNUの現場諜報員マルカスは、立ち退き命令の書類を持参しD9の住民たちのもとを訪れるが、そこで黒い謎の液体を浴びてしまう。そして、彼の身体に異変が・・・。


制作費 20億円

ヤッターマン / 三池崇史

またアニメの世界を再現する為にCGを1200カット以上(映画全体の9割)使用したという。ワイヤーアクションの他に、ハリウッドでも使用されているサイバースキャンという道具を使い、通常の撮影では不可能なスタントをCG技術によって処理、ダイナミックなアクションシーンを可能にした。


GOEMON / 紀里谷和明

GOEMON ( ゴエモン ) は、紀里谷和明 監督が最新のCG 技術を駆使し、CG合成に1年という時間をかけて時代劇 なのに新しい、カッコイイ作品に仕上がっている。


制作費 600万円

エレクトロニックガール / 松田圭太

「時間のない中で、作品を撮らなくてはいなけい場合、やはり絵コンテが重要になってくると思います。例えば、撮影現場でカメラの位置を変えると、照明やマイク、役者の立ち位置まで、全てを変えなくてはいけません。そうすると機材の移動だけで、最低でも30分〜1時間かかってしまいます。しかし、この作業を絵コンテ上で行えば、消しゴムひとつで変えることができます。それだけの労力なんです。だから僕は絵コンテを全て事前の用意しました」


制作費 不明

アサルトガールズ / 押井守

VFXと編集を手掛けるのは、『ローレライ』や『日本沈没』などでその才能を世に知らしめた、日本特撮界が誇るCGクリエイターの佐藤敦紀。そして、作品の至るところに登場する銃器のアドバイザーとして参加したのは、日本のガンエフェクトの第一人者である納富貴久男。と、スタッフ陣の顔ぶれも相当豪華!