09年に公開されたCGアニメーション映画の一部を制作費順に並べてみた。

 日本またはアメリカで09年に公開されたCGアニメーション映画の一部を制作費順に並べてみた。制作費じゃなくて製作費かもしれません。全部で16作品。


制作費 1.75億ドル

カールじいさんの空飛ぶ家 / ピーター・ドクターボブ・ピーターソン

「観客は(風船の束を)見て、『これはきれいだ』と言う。しかし、これにどれほどの労力が費やされたかは知らない。これには1年以上かかった。(次に)子どもが帽子を脱いで、髪の毛を指でかき上げる。わたしの母は、これに15人が6週間かけたことを知ることはないだろう」


モンスターVSエイリアン / ロブ・レターマン、コンラッド・ヴァーノン』

<エフェクト>
 『モンスター VS エイリアン』のプロジェクトにおいて、基礎技術の向上という意味でもっとも画期的なR&Dがおこなわれたのが、エフェクトの分野だった。
 特に画面全体から観客に向かって飛び込んでくるような爆発や炎の表現では、できるかぎりその細部に至るまで物理的に正確な計算をおこなっておくことが、シーン全体の真実味を高めるための鍵になる。
 ドリームワークスは、この計算処理の負荷を軽減するため、流体シミュレーションとプロシージャルな流体の表現とを融合させた新しいパイプラインを構築した。このパイプラインの基本的な考え方は、2008年のシーグラフで発表されたWavelet Turbulenceの手法に基づいている。


制作費 1.7億ドル

Disney'sクリスマス・キャロル / ロバート・ゼメキス

ロバート・ゼメキス監督はこの古典的名作を、最新のパフォーマンス・キャプチャー技術を使った3D映画として製作。同技術は身体の動作だけでなく表情の微妙な変化をもデジタルデータとしてコンピューターに取り込み、ソフトウェア上でレンダリングしてCDキャラクターを作り上げるもので、実写に限りなく近いリアルな演技(パフォーマンス)とCGアニメの自由なキャラ造形を両立できる。


制作費 1.5億ドル

ボルト / クリス・ウィリアムズ、バイロン・ハワード』

ディズニーのアーティストたちが、コンピューター・アニメーションの中にも手描きの背景をバック・グラウンドとして欲しいということで、今回ご覧のように非常に美しくソフトな感じが出たからね! 今まで見たことのないような背景が今回技術的に可能になり、なんだか非常にユニークで表情豊かなCGアニメになっていると言う自負があるよ。


マダガスカル2 / エリック・ダーネル、トム・マクグラス

リアルな草原の見え方をつくりだすために、ここでは一本一本の草が自動生成され、その動きもシミュレーションでつくりだされ、独自のパイプラインでレンダリングがおこなわれた。草の自動生成は3段階に分けられる。まずは草原にあたる地面に様々な大きさのボクセルを配置する。これが草原全体に渡る草の分布を大雑把にモデリングすることに相当する。次に“レングス・マップ”というテクスチャによって、各ボクセル内の草の高さの微妙な違いなどのディテールを与える。そして、この情報を読み取って、ボクセル内部に一本一本の草に相当するカーブを生成する。一本一本の草に動きは、毛のシミュレーション・システムを用いてつくりだされた。


制作費 1億ドル

くもりときどきミートボール / クリス・ミラー、フィル・ロード

アニメーションを制作したSony Pictures Imageworks社は、『Arnold』というライティングシステムを使ってレンダリングを行った。これはピンポイントのライティングの代わりに面照明を利用でき、さらに物体から反射する間接光も処理できるもので、「グローバル・イルミネーション」と呼ばれる。これがキャラクターや食べ物、建物の質感に大きく貢献したようで、3D映像を観たときの没入感、空気感にもプラスの効果をもたらしていた。

制作費 9000万ドル

アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの / カルロス・サルダーニャ』

ブルースカイ・スタジオは、毛一本一本をレイトレーシングによって物理的に正確にレンダリングしている。厳密に毛一本一本をレンダリングしていては途方もない計算時間となるため、ここで一工夫が加えられている。
 それは、計算する対象となる空間全体を細かい6面体(ボクセル)に分割し、各ボクセルに毛の物理的特徴を平均化した情報を記憶させ、その情報をもとにレイトレーシングをするという手法だ。平均化した情報には、毛の法線方向や、毛の表面や内部での光の散乱の特徴なども含まれている。これによって、計算が効率化されながら、毛と光のインタラクション(反射・屈折)や毛が毛に落とす影、モーションブラーの効果なども正確に表現することができる。


制作費 6500万ドル

ATOM / デヴィッド・バワーズ』

通常ハリウッドのフルCG作品は、制作に3年〜5年かかるが、同作品は異例ともいうべき19カ月という短期間で制作された作品だ。


制作費 5000万ドル

Planet 51 / Joe Stillman 』

NASAの宇宙飛行士チャック・ベイカーが、プラネット51と呼ばれる惑星にやって来ると、そこにはエイリアンの侵略を恐れて暮らす緑色の先住民がいたというストーリーの本作。先住民の声をジャスティン・ロングジェシカ・ビールゲイリー・オールドマンといった豪華な顔ぶれが担当している。


制作費 3000万ドル

9 / シェーン・アッカー

 本作の監督は『ロード・オブ・ザ・リング王の帰還』でCGアニメーターを務めたシェーン・アッカーヤン・シュヴァンクマイエルブラザーズ・クエイにオマージュを捧げ制作した、2005 年の彼の同名ショートアニメが、鬼才ティム・バートンの目に留まったのをきっかけに、バートン、そして『ナイト・ウォッチ』のティムール・ベクマンベトフをプロデューサーに迎え、アッカー氏自身で短編から88分の長編映画として作り上げたのだ。


制作費 2500万ドル

ナットのスペースアドベンチャー3D / ベン・スタッセン』

本作に2Dと3Dの演出の違いを端的に表すシーンはありますか?
■BS:「ナットたちがバレエを踊るように浮遊しているシーンがあります。このシーンはワンカットで2分57秒もあるのですが、観客にも浮遊感を共有してもらうためにインサートしました。2Dでしたら絶対に入れないようなシーンです。これこそ3Dならではの楽しさだと思います」


制作費 15億円

よなよなペンギン / りんたろう

「約8年前から企画がスタートし、プリプロダクションに3年、実制作には5年かかりました。作業単位ですと、キャラクターや背景制作に1年、手付けモーションの制作に1年、特殊効果合成(エフェクト)などに1年かけています。制作中も世間の評判は良く、中国など約15カ国での上映が完成前から決まっていました。りんたろう監督の想いが通じて、子どもたちが毎年クリスマスに見てくれる作品になって欲しいと思います」(丸田氏)。


制作費 800万ドル

Battle for Terra / Aristomenis Tsirbas』

ハリウッドでVFXの仕事をしていたAristomenis Tsirbas監督が、実写映画として考えていたアイディアを、デモリールを作り出資者を募って実現させた企画だそうです。20人のスタッフが2年以上かけて作った低予算の作品とのこと。


制作費 3億5千万円

Metropia / Tarik Saleh』

アニメーションの広がり、スウェーデンの長編『メトロピア
ストックホルムの映像制作会社Atmo Media Network(以下、アトモ)を司令塔に制作された、長編アニメーション『Metropia(メトロピア)』(監督:タリック・サレ)が2009年に公開される見通しだ。石油が枯渇した近未来、都市間が巨大な地下交通網で結ばれるヨーロッパで、地下鉄に乗ると不快さを感じる主人公が自分の生活の細部までコントロールされていることに気づき、その世界からの脱出を試みるという、SF風サスペンスだ。


制作費 不明

ホッタラケの島 〜遥と魔法の鏡〜 / 佐藤信介

――具体的にクオリティも追求しながらタイトな制作期間で仕上げる為にどのような手段をとられたのでしょうか?
牧野:いろんな方策を考えましたね。「ホッタラケの島」の外の世界の背景、全体の3割強くらいを背景美術のスタジオ美峰さんに2Dで描いてもらいました。全体の3割程度のカットを手で描いてもらう、マットペインティングで乗り切ったんです。残り7割のCG背景においても、セットの質感や素材を美峰さんとコラボレーションしたんです。


アジール・セッション / アオキタクト』

原作・映像・音楽など作品の骨格となる部分はアオキ監督が担当し、背景制作はCGを学ぶ大学・専門学校生が数十名集結し制作されている。